一、焚火たきび(12)

「悪趣味ですよ。」
「こういう課題があるとお互いのことがよく分かっていいよね。みんな俺が悪趣味な奴だってことがよおく分かったろ? よっしゃ、とりあえず八等分したからよ、あとは自分達でやってくれ。」
「八等分?」
「八等分っていうと、一つを何人で分けることになるんですか?」
「五十六人だな。」
「さっきからなんなんですか、その五十六っていう半端な数字。」
「半端かな。なんの数だと思う?」
「あっ……!」
十人で什、什が五個で屯。五十人の兵隊に、五人の什長と一人の屯長を合わせれば、全部で五十六人だ!
「えっ、屯の人数? じゃなんで最初五十六人分焼いた時に先着順でばらいちゃったんですか?」
「おっと、そいつはうっかりしちまった。さあどうする、賢明なる諸君。面白いよなあ、こういうの。面白くねえか。イラつくばっかしだな。ひゃっひゃっひゃっ。」
コイツぶっ殺してえ。
「俺の至らないところはみんなの頑張りで補うんだぜ。よろしくな。ちなみに最初に焼いた分を持ってったのは大半がこう屯長んとこの奴だったぜ。」
へらへら笑っていやがって。何が面白いんだ。
「じゃあどうするか……」
屯長たちが真面目に相談し始めた。
「基本的には黄さん以外の屯に材料を分けて作って食べるとして、さっき貰った奴は黄さんとこの食べてない奴に渡すようにするか?」
「貰ったか貰わないかみんな素直に自己申告するかね。」
「信じるしかないだろう。」
「自己申告を偽らないことの重要性を説明してからとりかかったほうがいいね。」
「やれやれ面倒だな。」
「面倒くさそうな人だな。」
「何が愉快で笑ってるんだか。」
「底意地が悪いんだよ、きっと。」
「こうやってみんなで相談してああでもないこうでもないってやるのも楽しいけどな。それも、たかだかちっぽけな餡餅シャンピンのために。童心に帰るよ。」
「食べる食べないの問題じゃないね。困難な課題をみんなで解決した時の達成感をぜひ共に味わいたいものだ。」
「絶対成功させよう。」
「意地でも。」
「隊長の鼻をあかしてやる。」
「我が部曲の底力を見せる時だ。」



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