十五、おかしな仲間たち(4)

「拉麺はちょいと工夫がいるんだよ。灰汁あくを使うんだ。灰を水にじゃぶじゃぶっと浸けて上澄み液を取ったやつな。ヨモギの葉っぱを燃やした灰を使うと香りよく仕上がるぜ。材料は、拉面めんうちと水を、かさで量るなら四対一、灰汁あくは水の百分の二~三、まあ、様子を見ながらやってくれ。水の温度は触ってぬるいと感じるかどうかってくらい。夏の室温くらいかな。手擀麺しょうがんめんなら水温なんて気にしねえでもまあまあ仕上がるけどよ、拉麺は水温間違えると伸びねえでプツっと切れちまうからな。でまあ、ね捏ねして、一食分ずつまとめて油塗って寝かせといて、食べる時に引っ張って畳んでじって引っ張って、ってやって、お好みの太さまで伸ばして茹でれば完成。拉麺生地のくっつき防止は打ち粉じゃなくて油だからな。つゆや具材はお好みでテキトーにやればいいよ。」
「えっ、テキトーにって? 汁つゆなんて作ったことないスよ。」
「肉とか魚介とか野菜とかテキトーにグツグツやっときゃあなんかしらできるよ。で、香辛料とか調味料とかテキトーに入れときゃいいじゃん? 当たれば旨いもんができるかもよ。」
「そう言や、手擀麺しょうがんめんのタレもそんな感じで教えてもらったんだっけ。これって、教えてくれてることになるんスかね?」
「テキトーに楽しくお気軽に作ればいいじゃん。食べるの好きだったら自ずと旨いの作れるようになるって。ほんとは作ってるとこ見せたり、作らせてみて手とり足とり教えてやったほうが手っ取り早いのかもしんねえけど、仲基ちゅうきは自分であれこれ工夫しながら上手にできるようになるだろ。うまくいかなかったらいつでも聞きに来てくれていいからな。お前がそんなに自由に出歩けるのか知らねえがよ。」
「韓什長の拉麺作りの技を覚えに行って来ますって言えば、オヤビン絶対許可しますよ。食いしん坊ですもん。」
「その什長っつうの、なんなの? あだ名か? 面白えな。諸葛孔明しょかつこうめいが丞相っていうあだ名の右将軍で、俺は什長っていうあだ名の部曲督。他にこういうあだ名の奴いるかな?」
「先帝が皇叔っていうあだ名の皇帝。」
「ギャハハハ。劉皇叔か。懐かしいな。っつうかお前そんな時代知らねえだろ。」
「知ってますよ。たった八年前じゃないですか。」
「八年前ねえ。お前はさぞ可愛いチビっ子だったことだろうな。」



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