二、城壁にて(11)

「じゃどうするんですか?」
「全員登るまで何日でも待ってやるぜ。あんまグズグズやってると将軍が俺のことを罷免しにやって来るかな? ひゃっひゃっひゃっ。」
「一体なんの嫌がらせなんですか?」
「嫌がらせのつもりはないよ。」
「嫌がらせでしょう。これはもう力尽き倒れて戦闘不能って状態じゃないですか。いつまでもいじめてないで勘弁してやったらどうですか。」
「実戦で敵にそんなこと言っても通用しねえじゃん。こんな城壁の下でぶっ倒れたら石とか熱っつ熱つの油とかドカドカ落っこちて来て死んじゃうぜ。どうすんの? 見殺しにすんの?」
「いや実戦では放っとかないですけどいま訓練なんで。」
「訓練で見捨てんのに実戦でどうやって助けんの? いまできねえことは本番でもやっぱできねえんじゃねえのかな。」
「見捨てたくはないですけどこれはもう万策尽きましたよね。」
「万策尽きた? マジかよ。」
「じゃどうにかできるってんだったら隊長やってみて下さいよ。」
「俺にやれってかい。ふうん、分かった。じゃあ俺鎧脱いじゃうから什長これ上に持ってって。公惟の分もな。俺こいつ連れてくから。」
「どこへ連れて行くんですか?」
「城壁の上。全員登らないと終わんねえもん。」
「なにも無理やり登らせなくたっていいじゃないですか。」
隊長はへらへらと笑いながら公惟に訊ねる。
「どうやって登る? 自分で頑張ってみる?」
ボソボソと何やら返事をする公惟。
「じゃあ俺公惟をおんぶして登っちゃおっかな。危険だけど。」
「えっ!」
宋什長が声をあげて驚いた。
「そんなことできるんですか?」
「さあ。やったことねえし。」
「やったことないのにいきなり冒険すぎやしませんか?」
「ひゃっひゃっひゃっ。」
「笑ってる場合ですか。」
「自分で自分の力の限界って分かんないもんじゃん?」
「なにも無理しなくていいじゃないですか。これ実戦じゃなくて訓練ですよ。危ないですよ。」



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