三十四、最強戦士(4)

 ふと隊長が外を見て、ニコッと笑った。何事かと思う間もなく
「アハハハ。」
という笑い声が聞こえた。李隊長だ。
 李隊長は入り口から顔をのぞかせて
「具合どうなの?」
と訊ねた。隊長は入り口まで歩いて行きながら
「もう元気なんです。明日から仕事に戻ろうと思ってます。」
と言って、李隊長を迎え入れた。
「まだゼエゼエいってるよ?」
「まあこんなもんです。」
恥ずかしそうに笑う。
「先日は蜂蜜を頂いて、ありがとうございました。」
「あああれね、べつに蜂蜜を使ってお菓子作ってくれって催促じゃないよ。アハハハハ。なんか咳とかにいいっていうからさ。」
「ありがとうございます。」
「いやあ、びっくりしたよ。このあいだ来てみたら廻避牌避客牌がかかってるんだもの。」
「失礼しました。」
「そんなに大変だったの?」
「なにが大変って、ゼエゼエしちゃってぺちゃくちゃおしゃべりできないのが辛かったですよ。ふだん多弁なもんで。お見舞いに来て頂いて顔を見たら絶対いろいろしゃべりたくなるだろうと思って廻避牌避客牌かけたんです。」
「なんだ、そういうことか。心配しちゃった。」
「すみません。」
恥ずかしそうに笑いながらお茶を淹れにいく。
「ああダメダメ、おかまいなく。お見舞いに来たのにいろいろさせたら本末転倒だよ。」
「もう元気なんです。」
楽しそうにお茶を淹れ、干し葡萄と一緒に勧める。
「お茶しに来たんじゃないんだけど。」
「私が飲みたいんです。」
ニヤニヤしながら嬉しそうにお茶を飲む。なんなんだろう。まさか、やっぱり李隊長に恋してるんじゃあるまいな。まさかな……。
「なんか、壇中打たれて喘息になったんだって?」
「ギャハハハ。おっと、自分でウケちゃった。」

※廻避牌……三国志演義で曹操が関羽からの別れの言葉を聞きたくないために門にかけたのと同じもの。Please Don't Disturb(取り込み中につき立ち入りをご遠慮下さい)



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