六十二、双璧(1)

 俺は誤解していた。魏征西(ぎせいせい)はかねがね少数精鋭で長安を急襲するという作戦を丞相に具申(ぐしん)してきたが、未だに実行を許されずにいる。隊長は以前、将軍のその作戦に対して「陳倉(ちんそう)も落とせねえのに長安を …

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六十二、双璧(2)

 今回の演習は双方堅陣をかまえて十日間かけて相手の陣地を陥落させたほうが勝ちらしいが、俺たちは状況開始早々に敵陣を素通りしてこの山に入ったきり、全く攻撃に参加していない。ここで遊んでいるのは一体なんの意味があるんだろうか …

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六十二、双璧(3)

 べつに、隊長の指揮がとりたてて優れているわけでも、姜征南の守備の手際が悪いわけでもないと思う。落ち着いた陣地の中で毎日決まった時間に食事したり眠ったりしていた兵隊と、山で野獣と化した兵隊との気迫の違いだ。手段を選ばなけ …

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六十二、双璧(4)

「あれ? 俺いま何言った? ごめん半分寝てた。終わったーと思って安心しきって頭真っ白だったんだけど」 「命綱なしで崖に飛び込むって」 「ギャハハハ! 投身自殺! あれー、おかしいなあ。そんな、自殺を考えるほど精神状態悪く …

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六十二、双璧(5)

「みんなはそれを心配するほどの飢餓状態じゃないだろ。一日に一回は牛糞(ぎゅうふん)かじってたじゃん」 牛糞というのは、携行口糧(けいこうこうりょう)の不味(まず)さを揶揄(やゆ)した蔑称だ。 「え、隊長もやっぱあれのこと …

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六十二、双璧(6)

「っていうか嬉しくないの?」 「達成感がないですよ。簡単にいきすぎでしたね。そこが将軍のお力なんでしょうけど」 「ずいぶん傲慢(ごうまん)なことを言うんだねえ」 李隊長は手を打ってケラケラと笑った。隊長は物憂げな表情でお …

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六十二、双璧(7)

 李隊長はしばらく無言でにこにこしながら、お茶を飲む隊長の顔を愛おしげに眺めていた。そしてゆっくりと言った。 「ねえ、オレ達って、魏(ぎ)征西(せいせい)の双璧(そうへき)のようだと思わない?」 瞬間、隊長の口の端がニマ …

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六十二、双璧(8)

李隊長の丞相府に関する説明が分かりづらかったので、俺は質問した。 「それどういう意味ですか? 人間にとっては墓場でもバケモノにとっては我が家、って意味ですかね?」 「アハハハ。季寧くん、丞相府に行ってその質問しておいでよ …

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諸葛亮の誕生日

三国志・蜀の宰相、諸葛亮。 漢室復興をめざして北伐を起こすも、志半ばにして五丈原で陣没しました。享年54歳。 これは西暦234年8月のことですが、では誕生日はいったいいつだったのでしょうか。 誕生日については二説あります …

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湘江のリゾート

 長沙の街の真ん中を、大きな川が縦断しています。湘江。長江の支流の一つです。  街の東西を結ぶ橋の真ん中あたりには中州があり、橋から降りられるようになっていました。私が行った時は夏で、たくさんのビーチパラソルが立ち、浮き …

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