七十四、襲撃(1)

 栗のおいしい季節だ。隊長がルンルンと栗を煮て遊んでいる。またお菓子に入れちゃうのかな。俺は豚肉の粽(ちまき)の中に入った甘じょっぱい栗が好きなんだけど。栗入りの粽を作って下さいよ、って言ってみようかな。料理の要望にはい …

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七十四、襲撃(2)

 落ち着け俺。ゆっくりと座り、深呼吸をして竹の皮を開く。…………! もち米の一粒一粒がキラキラと輝いて、宝石のようだ。これ眺めながら、竹の皮の匂いを嗅いでいるだけで、三日間くらい生きられそうな気がする。俺は動揺のあまりど …

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七十四、襲撃(3)

「どうしても早々に結婚させようって包囲網なんですね?」 「そ。次の遠征が始まる前に子種仕込んどけよ。そしたら凱旋(がいせん)した時に季寧そっくりの可愛いチビッ子が『おじちゃん誰?』っつって迎えてくれるから」 「ヤダそんな …

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七十四、襲撃(4)

 人払いが済むと、隊長はお袋から見えないように右の手のひらで左手を隠しながら、その左手の親指と人差し指で丸を作って兄貴の顔を見た。兄貴はへらへらと笑いながら肯定した。 「はあまあそういう事情です」 俺の手当てはほとんど家 …

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七十四、襲撃(5)

「怒んないでよ」 「だってお前わけわかんないよ」 隊長が割って入った。 「すみません。本当のことを言います」 兄貴の肩に腕をまわしてコショコショと耳打ちを始める隊長。この二人の間柄は不思議だな。しゃべり方は他人行儀なのに …

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七十四、襲撃(6)

 俺の家でちょこっと酒を飲んで、冬瓜その他いくつかの田舎料理を食べて、先方との交渉には隊長は入って行けないから兄貴によろしく頼んで、日が高いうちに帰路に就いた。道中、楊屯長が隊長に訊ねた。 「今日このあと先方のお宅も襲撃 …

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七十四、襲撃(7)

 本当は、隊長が相手の家に顔を見せるのはいいことじゃないと思う。詐欺みたいにして早々に結婚したとして、その後すぐに遠征が始まったとしたら、相手の家の人たちはきっと「あの隊長め、近々遠征が始まることを知ったうえでわざわざ家 …

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七十四、襲撃(8)

「はじめまして。私はあちらの張四郎(チャンスーラン)さんの所属している部隊の隊長をさせて頂いております韓英(かんえい)と申します」 恭(うやうや)しく名刺を差し出す隊長。重々しい書体で部曲督(ぶきょくとく)と別(べつ)部 …

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