六十四、お粥の話(2)

「税金の無駄遣いじゃないですか」
「長い目で見れば、悪い話じゃないと思うけどな。使い勝手のいい人材にどんどん兼任させて使い倒すよりも、兼任なんて極力やめて実績のない若い人に積極的に仕事を割り振ったほうが将来に繋がってくと思わねえ?」
「隊長は実績のない若い人ですよ。次代を担う人材の育成なんて、そんなの隊長が考えることなんですか?」
「考えるべき人が考えてくんねえから俺が騒ぐことにした」
「騒ぐだけご自分が損するだけですよ」
「独り身は便利だな。家に美人でキツい奥さんと食べざかりのガキンチョが待ってるようだと絶対損得考えながら動いちまいそうだ」
「さっさと結婚して下さいよ」
「多少騒いでもさほど目くじら立てられることもないと思うけどな。俺のような脳筋ノーキン野郎やろうを元気に泳がせておくことは組織の活性化に繋がるじゃん?」
「ご自分で、脳みその中身まで筋肉でできてるって思ってるんですか?」
「いや。俺の頭蓋骨の中には豆腐が詰まってるんだ。でもはたから見ればきっと脳筋ノーキン野郎やろうに見えるだろうから、その印象を利用して動くわけ」
「頭の中に詰まってる豆腐っていうのは、臭豆腐チョウドウフですね?」
豆腐脳ドウフナオっていう料理、知らねえ?」
「え、なにそれ。キモ」
襄陽閥じょうようばつっていう言葉、知らねえ?」
「知ってますよ。我が国の要職はほとんどが丞相の襄陽時代からのお仲間に占められているって話ですよね。それこそ兼任、兼任で」
「だめだろ、そんなの」
「丞相の指導力を確保するためには必要なことなんじゃないんですか。おんなじ社会でおんなじような先生に学問習ってきた人たちだったら何をやるにも話が早いだろうし、やりやすいんじゃないですか」
「そんなの指導力とは言わねえ。そんなやり方じゃ先細ってくだけなんじゃねえか。いっつも人材が足りねえって騒いでるけどよ、その入らんことを欲してこれが門を閉ざすがごとしなんじゃねえの」
「でも益州えきしゅうの人材を使おうとしたら、ぜったいガタガタしますよ。益州の名士なんて、昔の劉璋りゅうしょうの時代のほうがよかったって思ってる人がほとんどじゃないですか。昔の体制の中で冷や飯を食っていたならず者が先帝を蜀に引き込んで恩を売って成り上がったために、昔よかった人たちが今度は冷や飯を食わされて、漢に代わる者は当塗高とうとこう当塗高とうとこうは魏なり、なんてヒソヒソ言い合ってグレてるんですから。丞相の言うこと聞くわけないですよ」

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“六十四、お粥の話(2)” に2件のコメントがあります

  1. 豆腐脳…ネット検索しましたけど
    美味しそうですね
    まるクルルさんの食卓に
    普通にありそうですね

    五丈原、お供させて頂きます!
    ドラマだと、こういうとき
    義兄弟、義姉妹の盃をかわす
    みたいな展開になりますが
    異性の場合は何か
    他に言い方あるんですかね?
    個人的にはション友でも
    いいかなと(☆∀☆)

    コメントが前後しちゃいますが
    以前「小説を味わって頂ける」的な
    返信を読んだとき何かドキッと
    しました
    読むでなく、味わうって表現も
    あるんですね
    私も小説を味わうって
    さらりと言える大人になりたいなと
    思いました

    • 豆腐脳は美味しいです!
      自分では作ったことがないのですが、留学中に朝市の屋台でよく食べました。
      そのうち隊長に作ってもらって季寧くんに食レポしてもらいましょう!
       
      水滸伝の108人の豪傑には女性も含まれていますが、女性だから特別な何かということもなかったような?
      でも異性だと「連れション」はできませんね!?
      ともあれぜひ五丈原までよろしくお願いします!
       
      文章を「味わう」という言い方はどこかで目にしたことがある表現の受け売りです(笑)
      本のタイトルで『中国古体詩を味わう』みたいな題名のものがありがちかと(^^;)
      あまり気にしたことはなかったのですが、言われてみれば確かに文章を「味わう」とはそれこそ味わい深い言い方ですね!
      何気なく使っていた言葉の味わいを見つけて下さってありがとうございます!

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