六十四、お粥の話(5)

姜征南きょうせいなん平北へいほくにでも押しつけとけばいいようなもんなのに。なんでかん司馬しばなんですか? ぜったい陰謀ですよ。このあいだ御大おんたいのご機嫌伺いに行った時、どんな感触だったんですか?」
「御大は今回のことに噛んでなさそうだぜ。この話は君にとってはいい話、私にとっては困った話だねえ、なんて言ってた。言われてみればそうかもと思ったよ」
「それどういう意味なんですか?」
「仮に御大の新兵ばっかり部隊がイマイチ評価されていないとして、そのもと子分の俺が新兵ばっかり部隊の運営に再挑戦してもし御大よりも上手にやっちまったら、御大の面子メンツが傷ついちゃうじゃん? 御大は、なんにも気にしないで思う存分やったらいいよって言ってくれたけどさ。これはこんが治水事業に失敗した後に、その息子のが新たに治水を担当させられたのと同じことかもしれないね、だとさ。んで、君が私を踏み台にして成功したらせいぜい私の老後の面倒を見るんだぞ、って冗談半分で言ってた」
「へえ……よかったですね。御大に憎まれてたんじゃなくて」
隊長はニコッと笑った。もう。なにが「ニコッ」だよ。笑ってる場合かよ。
「じゃ結局、これは一体誰の陰謀なんですか?」
「さあ」
「心当たりないんですか? 鈍感すぎ」
「いやあ、実はさあ、ちょっと、やること間違っちゃってたのかなと思って落ち込んでたんだけど」
「なんですかそれ?」
「丞相が兔狩りをしようと思ってるのに鹿に向かってギャンギャン吠えている馬鹿犬を、よけいなことするなって叱りつけて首の縄をぎゅーっと引っ張るような、そんな人事だと思ったぜ」
「面白い絵面えづらですね。首を丞相に、尻尾しっぽを将軍に引っ張られて窒息寸前の狂犬」
辛辣しんらつだね」
「べつに窒息しないでしょう?」
「しないよ。丞相が兔狩りだって言えば将軍だって大人しく兔狩りをするしかないんだから」
「このあいだ将軍のことを、ちょっと我慢してウンって大人しく言うこと聞いとけば八方丸く収まるって時でもその一言が言えねえばっかりに命までかけちまうって言ってませんでしたっけ?」
「将軍が丞相の言うこと聞かなかったことが一度でもあるかよ」
「言うこと聞かなかったら殺すぞって脅かされてるからですよ」
「脅しに屈して言うこと聞いてるわけじゃないだろ。真面目ないい人なんじゃん」

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“六十四、お粥の話(5)” に2件のコメントがあります

  1. 食文化の違いが、補給に影響しそうだなと考えてたんですが……
    窒息寸前ですね
    これは悪魔合体に期待するしかないですね?

    『う』が新たに治水を担当……
    初めて知りました
    夏王朝?時代の言葉なんですね

    了解です。頭の中でふりがなふります(≧∇≦)

    サイトのチェックは
    洗濯機が洗濯してるタイミングで
    行ってるので、無理はしてないです
    日課になってますよ
    なので強行軍、大歓迎です
    ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

    私のコメントに返信ありがとうございます
    毎回、丁寧な内容に感謝してます
    ただ、負担になってないか
    ちょっと気になってます
    なので、今後は下ネタを控えつつ
    長文にならないよう改善しようと
    考えてます
    m(._.)m

    • 食文化の違いの話としては、これから山羊の乳の話題が少し出てくる予定です。
      隊長に料理してもらって季寧くんに食レポしてもらいましょう!
       
      悪魔合体は、たぶん起こります。隊長はいつも季寧くんに鬼、悪魔、人でなしと言われていますから(笑)
       
      『う』は神話なのか史実なのかあいまいなくらい昔の帝王ですが、治水を行ったということで、水を制する者が天下を制するという言葉の見本のような帝王だなと思います。
      干ばつや洪水で苦労していたら、それをなんとかしてくれた人にみんなが従うのももっともな感じがしますよね♪
       
      『ショッケンひにほゆ』を日課の中に取り入れて頂きありがとうございます!
      毎朝の貴重なお時間を頂戴し感謝感激です。では遠慮なく強行軍にご同行頂きますね!
       
      いつも暖かいコメントを頂きありがとうございます!
      ぜひよんよん様のお気のおもむくままに 時には長く時には短く、細く長くお付き合い頂けると幸いです。
      今後ともよろしくお願いします!

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