六十九、楊儀威公(ようぎいこう)(3)

「なんかはじけてるっていうか下品っていうか、今にもギャハハハハとか言い出しそうで嫌なんですけど」
「言いたいなら言わせてあげなよ。お兄さんも大変なんだよ。女子供やお年寄りに囲まれて、みんなをがっかりさせないように頑張んなきゃなって思いながらやってんじゃん? たまには同い年の馬鹿と馬鹿話でもしたいだろう。同じ年頃の同性としかできないような話ってあるじゃん?」
「例えばどんな?」
「他愛もないことばっかだけどさ。なんにも気にしなくていいところがいいんだよ。俺にしたって普段おっかない上官や恐れを知らない若者たちの厳しい評価の目にさらされて、ちゃんとやんなきゃーって思いながらやってんじゃん? でもお兄さんにはどんだけだらしないところを見せたって、ウンウンってうなずきながら一緒になって笑ってくれるわけ」
「こんな人に弟を預けてるのか、って心配されそうですよ?」
「だらしないといいかげんは違うじゃん?」
「よく分かんないですけど。自分の留守中に、兄貴との友情を育み、お袋の手料理を褒めちぎって歓心を買い、いずれはめいを嫁にしようという、そういう計画ですか」
「いえ、姪御めいごさんのことは狙っていません。もっとまっとうな、彼女と同世代の男性と幸せになって欲しいと願っています」
ああ、結婚か……。という俺の頭の中のつぶやきを超能力で読み取って、隊長はこう言った。
「でどうする、この続きは?」
「はあ。いちおうお袋と兄貴には言っといたんで、それらしい人を探しといてくれるとは思うんですけど。とりあえず連絡待ちです」
「自分で見ないと確認できないんじゃねえ?」
「またこんど秋の――」
と言いかけて、自分で勝手にそんな計画しちゃいけないんだっけ、と思って黙ったら、隊長が続きを言った。
「秋の社日しゃじつに休暇取って探しに行く? いいけどよお、あまりに悠長すぎねえか。女の半年は男の五年に相当するぜ」
「いやあ、べつに、いいですよ。それほど思い入れがあるってわけでもないんで。とりたててピンとくる人もなかなかいないもんで、誰か選ぶならまずそこからって程度の考えです」
「ふうん、分かった。ま、いいけどさ。万事思うようにいくといいね」
「はあ」
なんでそんな親身になって考えてくれるんだかわけわからない。自分が結婚できないもんで、代わりに他人の幸せになるところを見て喜ぼうという考えなんだろうか。隊長だって、本人がその気になりさえすれば今日にだって縁談決まるんだろうにな。前に言っていた三十過ぎの行かず後家ごけの彼女とはどうなっているんだろう。想像するだに恐ろしい話だ。

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“六十九、楊儀威公(ようぎいこう)(3)” に2件のコメントがあります

  1. 季寧くん、連絡待ちなんですね。
    結婚を決めてしまえばよかったのに
    隊長さんの彼女の件も気になりますね。

    ハロウィンのカボチャの画像ありがとうございますm(._.)m
    ロボットが、かめはめ波をしているように見えますね。
    息子さんは光彈ぽくしたかったのでは?

    中学生の時に女の子でコーエーのシミュレーションをしてるなんて
    カッコいいですね

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    • 現代のように結婚するもしないも自由という時代ではないので、隊長の彼女の話は本当に想像するだに恐ろしい話です。
      どうするつもりなんでしょう……

      なるほど、オレンジのカボチャは光弾ですか!
      確かにそのようにも見えますね。
      子供に聞いてもきっともう忘れていると思うので、勝手にそう思っておくことにします(笑)
       
      シミュレーションゲームは兄が買ってきたものを私も使わせてもらっていました。
      漫画もゲームも兄のものを借りて楽しんでいて、大きくなって自分のお小遣いで買うようになっても少年漫画ばかり買い、こんな大人になりました!

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