八十、韓英異度(かんえいいど)(3)

 隊長は天才技術者の蒲元ほげんという人と知り合いだ。若い頃に筒袖鎧とうしゅうがいの改良のための人体実験をさせられたことがあるそうで、それ以来の縁だという。武器や防具を開発する人にとっては、最前線で戦う人の意見はおおいに参考になることだろう。その縁で、常に最新鋭かつ高性能の鎧を格安で譲ってもらえるらしい。で、使ってみて感想を言って更なる改良を加えてもらうという、いい関係だ。
 隊長が人体実験で着た改良型の筒袖鎧とうしゅうがいは、今うちの部隊の標準装備になっているが、隊長はそれを指でコンコンと弾きながら「こいつは魔鬼あくまよろいだ」と言った。「やたら性能のいい鎧ってのも考えものだぜ。至近距離から強弩きょうどめっちにされてふっ飛んで血ヘド吐いてのたうちまわっても急所ばかりはガッツリ守られてるから死ぬに死ねねえ。生き地獄だ」
 よろいに関しては、もう一つ逸話がある。張車騎ちょうしゃきの親衛隊はとてもいい鎧を使っていたそうで、隊員一名の装備を整えるくらいの金額で新兵が百人徴兵できるほど高価だったという。夷陵いりょう戦役の前に、張車騎の部下の范彊はんきょうが隊員達に向かって「金がかかってるんだから最低でも一人あたり百人倒してから死ね」と言ったら、かん異度いどは当たり前のように范彊はんきょうをぶちのめして、張車騎に「こんなことを言われたからぶちのめしました」と当然のように報告したそうだ。それを聞いて、張車騎は一言「おう、お疲れ」と返事をしたという。一説には、これが范彊の張車騎暗殺の一因だったとか。まあ、この話はあくまでも噂だ。

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“八十、韓英異度(かんえいいど)(3)” に4件のコメントがあります

  1. 読んでるこちらの期待を裏切らずにダメな上司として范彊を描いてくださりありがとうございます♪

    • 『ショッケンひにほゆ』では三国志演義の登場人物のイメージをあまりいじりませんのでσ(^◇^;)

  2. 魔鬼の鎧って名前、
    なんかカッコいいですね。
    衝撃を吸収する仕組みがないと
    血ヘド吐きまくりな状態になりそうですね。

    張飛暗殺の裏に、そんなことがあったなんて……

    昨日は長文失礼致しましたm(._.)m
    不思議な体験でしたが、
    薬物等は一切やってません(汗)
    知り合いに話したら、
    ストレス溜まってるんじゃないかと
    心配されたことありますが(笑)

    不思議な体験でしたが、
    オカルトに走らないように
    普段は客観的に考えるように心がけてます。
    ダイエット成功したのも
    客観的に判断できるようになったからですね
    ・カロリー計算して
    ・食事制限をして、
    ・毎日体重をチェックして…

    連載開始から19ヶ月なんですね。
    こんなに長く小説を書き続けられるなんて、まるクルルさんスゴいですよ!

    五丈原の戦いがどんな展開になるか
    楽しみです。
    こちらこそよろしくお願い致します
    m(._.)m

    • 古代の官品の鎧は兵力を維持する目的で作られていたでしょうから、着る人の快適さは二の次三の次になっていそうですよね。
       
      范彊の話は季寧くんが噂で聞いただけですので、『ショッケンひにほゆ』の世界でも本当にあったことかどうか怪しいですよ!?
       
      本の文字が脳みそに貼り付く感覚の話ですが、もしかするといつもそういう感覚で本を読んでいて、それが当たり前だと思っている人もいるかもしれませんね。
      ページを一瞬見ただけで内容を把握できる人もいるようですし。
      私から見ると特殊能力のように思えますが (。・ω・。)
      ダイエットも、私から見ると特殊能力のような……(私がぐうたらなだけですね……)
       
      『ショッケンひにほゆ』は400字詰原稿用紙に換算すると2000枚以上のボリュームになります。
      まともなエンタメ小説を書こうと思えば250枚くらいで起承転結のあるものを書いたほうがいいと思いますが、趣味で書いているweb小説ですので、思う存分ディテールを楽しみながら書いてもいいかなと思っています。
      いつもお付き合いいただきありがとうございます!

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