八十、韓英異度(かんえいいど)(4)

 俺が隊長との無事の再会を喜びすぎてなんの挨拶あいさつもなく仕事をほっぽらかしてどっかへ行っちゃうツンデレ勤務兵であっても誰も驚きもせずとがめもせず、当たり前のように隊長の天幕は整えられ、隊長は何事もなかったかのように中で誰かと談笑している。当面は羌族きょうぞく部隊ではなくうちの部隊のほうに落ち着くらしい。
 中にいるのはきっと李隊長だろう。隊長がどっかから戻って来たとかどこかへ行くという場合には必ず真っ先に訊ねて来る人だ。どんな話をしているのかな。例によって聞き耳を立ててみる。
「勉強もしてないくせに、口出しばっかりするからムカツキますよ。じゃああんたがやってみろ、って思っちゃいますね」
オヤ、愚痴ぐちですか。そういう話はもっと小っちゃい声でしないとだめじゃないですか。ここでバッチリ立ち聞きしている奴がいますよ!
「できるわけないよ。他人のやることにケチをつけるしか能のない連中じゃない。それが仕事だと思ってるのかもね」
「やればやるほど空回からまわりだから、自分のやり方が間違ってるのかな、って、自信を失くしちゃいましたよ。いつでもガンガンやるのが正解だとは限らない。誰かがなんか言い出すまで黙ってようとか、見て見ぬふりで放っとこうとか、そういうふうにやらなくちゃいけないのかもしれません」
「アハハハ、やる気のある働き者が報われない組織」
「何を言っても、ヒヨコがピヨピヨ言ってるようにしか思ってもらえないんですよ。ヒヨコだってヒヨコなりに生きているんだから、ピヨと言うからには言うだけの裏付けがあるんですけどね。そこを信頼してもらってない。何をやったら信頼してもらえるのかと途方に暮れましたよ」
「焦りすぎじゃない?」
「日暮れて道遠し」
「大丈夫だよ。お日様が沈んだって、月も星もあるでしょ?」
「月光では作物は育ちませんよ」
「旅の話をしてたんじゃないのかい?」
「天下の話をしてるんですよ」
「このお菓子、ほんとに硬いねえ」
「これで前歯が欠けた奴がいますよ」
「なんのためにこんなに硬くしたのかなあ」
「歯ごたえを楽しむためじゃないですか?」
隊長、硬い物をゴリゴリと噛むの好きだからな。

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“八十、韓英異度(かんえいいど)(4)” に2件のコメントがあります

  1. 隊長さん、愚痴ってますね。
    辛い中間管理職って感じですかね?

    400字詰原稿用紙で2000枚以上なんて、本当にスゴいですよ。
    書籍にしてほしいです。
    本を購入することで、
    まるクルルさんにお礼できますから。

    ダイエットなら、一般的な内容でノウハウを教えることできます!

    食事の管理だけです。!
    運動は特に考え事なくてよいです。

    カロリーを運動で消費することより
    食べる量を減らすことのほうが
    効率がよく、計算通りに体重が減り、成果がわかりやすいです。

    ダイエットと運動は別に考えるのが、体重を減らす近道だと思います。

    本の文字が脳みそに貼り付く感覚の話の件ですが、
    速読の本を読んだときに
    画像で認識する方法ん参考に
    寝る時に、
    読んだ本のページを頭に浮べて読む
    という方法を試してたことあります。
    本を読む為に、イロイロな方法を試してたのが、
    文字が脳みそに貼り付く感覚に
    つながった可能性ありますね

    • 隊長は企画書を出しても却下され続ける人のような感じです。
      トップの意向に沿わないプランなので当然ですね(-ω-;)
       
      原稿用紙2000枚以上の文章を考えて入力するという手間を考えると、確かにすごいですね……
      好きでやっていることなので楽しいばっかりです。
      本になったら買っていただけるんですか? ありがとうございます!
      自費出版だとお金がかかりますが、宝くじが当たったらぜひ本にしたいです!
       
      食事制限によるダイエットは3年くらい前に試したことがあり、目標体重までおとせたのですが、その後リバウンドして前より太ったという失敗体験があります(-ω-;)
      去年は運動も組み合わせたところ、体重が減りつつも腕や足が筋肉でボリュームアップするという不思議体験をしました。
      最近はぐうたらしてまた太りはじめたので、この話がでた機会にまた始めたいなと思います。
      まずはおやつを減らしてみます!
       
      文字が脳みそに貼り付く話は、速読の練習の成果だったのかもしれませんね。
      その感覚を自分でコントロールできれば読書がより楽しくなりそうですね?
      珍しいお話をありがとうございました!

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