八十五、不如逃跑(にげるにしかず)(2)

分かりやすい反応だな。動揺しすぎ。気色キショいんだけど。俺の前に剔尖ティージエンを貰っていた奴が興味を持った様子で聞いて来た。
「なに? 昨日おっしゃってたことって」
俺はついニヤニヤと笑ってしまった。
「いやあ、それがさあ、」
言いだした瞬間に、隊長に正拳でぶっ飛ばされたからびっくりした。
「あ、申し訳ない。つい」
慌てて俺を助け起こしに来たが、俺が腹を立てたことは言うまでもない。腹立ちまぎれに暴露してやる。
「オイ、みんな! 隊長に生きててくれてありがとうって言えよ!」
みんなわけも分からないまま、そして、実際にこのあいだ隊長が溺死してなくてよかったと思っている矢先でもあるので、無邪気に
「隊長、生きててくれてありがとう!」
と言う。ちょっとやりすぎたかな? 隊長は恐ろしい目で俺を見ると、
「チッ。ふざけんな」
と言い捨てて、鍋を持って洗い場のほうへ行ってしまった。みんな無邪気にいぶかしむ。
「あれ~、なんで怒った?」
「隊長食わねえのかなあ」
そっか。せっかく剔尖ティージエンが旨そうに出来上がったところなのに、水を差してしまった。悪いことをした。

 とりあえず、さっき注いでもらった旨そうな剔尖ティージエンを伸びないうちに食うことにする。旨い。泣ける。ばあちゃんが元気なうちにもっとばあちゃん孝行しとけばよかったな。熱々なのを慌てて食うから熱過ぎて泣ける。こんなに美味しいのにどうして味わわずに大慌てで食わなきゃならないんだ、畜生。
 口の中を火傷しながら食い終わり、慌てて洗い場へ行く。隊長がしょんぼりした様子で鍋を洗っている。
「あのお、」
なんと言うべきか。
「なにもあんなに動揺することないじゃないですか」
う~ん、この際、最初に口にするべきなのは謝罪の言葉だったのではなかろうか。そういうのを素直に口に出すのって難しいな。だって隊長、馬鹿すぎ。あんなの全部隊長の反応が異常だったせいだろ。隊長はふーっと溜息をついた。なんか言うのかな、と思っていたら、黙ったまま、再びふーっと溜息をついた。
「あのお、怒ってます?」
「具合が悪くなりそうだ」
なんか、嫌味な返事だな。怒ってるなら怒ってるって言えよ。

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“八十五、不如逃跑(にげるにしかず)(2)” に2件のコメントがあります

  1. ん?
    隊長さんどうしたんでしょうか?

    剔尖、動画見たら
    兵士たちがどんな感じで食べてるかイメージできました。

    ワゴンセールでゲットした甘酒ですが私、勘違いしてました。
    スパークリングのレモン味でなく、
    普通のきな粉入りのやつでした。
    デザインが似てたので勘違いしました。
    失礼しましたm(._.)m
    半額とかワゴンセールの商品にすぐ飛び付く悪いクセがでてしまいました(汗)

    熱中症対策で夏の間、お店の入口に配置されてた商品がワゴンセールになってました。

    • 隊長は前日に季寧くんに語った内容が恥ずかしくてしょうがなかったみたいですね。
      自分の料理を褒められると生きててくれてありがとうって言われた気になるという感覚は隊長の非常にデリケートな部分に触れるものであるようです。
      それを暴露されたから怒ったようですね。
      こういうところが季寧くんから見てめんどうくさすぎる人なんだと思います(笑)
       
      剔尖の動画は麺をゆでるところで終わっていますが、あらかじめタレやつゆを用意しておけば、そこにゆであがった麺を入れてすぐにおいしく食べることができます。
       
      きな粉入りの甘酒もおいしそうですね。
      きな粉は鉄分が豊富なようですから、暑い夏を元気に過ごすにはいい飲み物になりそうですね。
      今は夏物が格安で手に入る時期ですが、まだ時々は暑い日がありますから、この期にいろいろ買ってもちゃんと役立ちそうな気がします!

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