九十一、予感(6)

「ちょっと生活習慣変えたほうがいいんじゃないですか?」
「う~ん、これをやめちゃうと、なんか他の理由で寿命縮みそうだな。朝に気持ち良くお料理する時間を持たないと、イライラがたまって暴れて死刑になっちまうかもよ」
「それ寿命じゃないじゃないですか」
おうか」
「じゃ今日のニラ卵は具合悪くなりながら気合で仕上げたたましいの一品なんですか?」
「卵きだから絶対失敗したくないと思って頑張っちゃった。思い通りに仕上がったからごきげんなんだ」
呑気のんきな人だなあ」
しょくもってんすだよ」
よっこらせと立ち上がって、今日分け前をもらう番の連中にニラ卵をよそってやっている。俺も当たり前に分け前を受け取る。ああ綺麗! ニラ、ツヤツヤ! 卵、ピッカピカ! 美しすぎる。鼻で匂いを嗅ぎながらせっかちに口を開けて頬張る。うわぁ~、ニラ、シャッキシャキ! 卵ふっわふわ! 甘っま~い! 旨っま~い! 泣ける~!
「もっと! おかわり!」
思わず叫ぶ。
「売り切れ」
からの鍋を見せながら、満足げな表情で洗い場に向かって行く。この、もっと食べたかったっていう量で終わるとこも、絶妙なんだよな~。将来大金持ちになったら、韓英を家の専属料理人にしてやろうっと。

 隊長に勝手に鍋を洗わせておいて、俺は一足早く隊長室に向かう。部屋の外側に李隊長が立っている。バッチリ武装した姿で悠々自適のご老人のようにゆったりと朝顔の花を眺めている。
「おはようございます」
「おはよ~」
「今日出発でお忙しいんじゃないんですか?」
「う~ん、そうなんだけどさあ」
なにやらニヤニヤと笑いながら、クネクネと身じろぎをする。キモい。
「何か緊急のご用でも?」
「いやあ、どうしようかなあと思ってさ。アハハハハ」
「なんなんですか?」
「ねえどう思う? 出かける前に異度いどくんに、この作戦が成功したら結婚しようって言ってから出かけようかなあ」
「そんなもん、成功しようがしまいが結婚したければすればいいじゃないですか。どうしてわざわざ条件を付ける必要があるんです?」
「えっ! 異度くんほんとに結婚してくれるかなあ?」

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“九十一、予感(6)” に2件のコメントがあります

  1. えっ結婚?
    まあ(汗)
    恋愛は自由ですし(汗)
    今後どうなるんでしょ汗)

    隊長さん、いま病んでるんで、
    意外とすんなり話が進んだりしてて(汗)

    隊長さん、客観的な判断で淡々と任務を遂行するイメージありますが、
    スピリチュアルなところもありますよね。その辺が人間臭くて良いかなと思います。

    • 李隊長は初めて隊長の手作りお菓子を見た時にさっそく結婚を申し込んでいましたよね(九、立ち聞き(3))。
      その時は断られましたが、今ならもしかして……?
      明日は李隊長の恋愛哲学(?)を語ってもらいましょう!
       
      隊長は知性と行動力がある一方で人間的にはたいへんもろいですよね。
      頼りになるのかならないのか分からないところが面白い人だなぁと思います♪

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